ドリフトに切れ角アップナックルは必要なのか?

ドリフト界で定期的に論争になるのが、切れ角アップナックルは必要なのか否かについて。

時代の進化と共に考え方も変わってきてるとは思いますが、個人的な考えを記しておきます。

結論だけ言うなら、何を目指したいか?が重要だと考えています。

では、何を目指すと切れ角アップが必要で、何を目指すと不要なのでしょうか?

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切れ角アップとは?

ドリフト走行で必要になるのが、カウンターステア。クルマのスライド量に応じて、曲がりたい方向と逆方法にステアリングを切り込んでいきます。

当然、クルマのスライドアングルが増えれば増えるほど、必要になるカウンターステアの量も増えます。

ステアリングがいっぱい切れるほうが、カウンターステアをいっぱい当てられるわけですね。

じゃあ、フロントタイヤの切れ角を増やしてあげましょうか、というのが切れ角アップの考え方。やり方はクルマによりけりですが、何種類かあります。

知恵の輪(ラックスペーサー)

一番お手軽なのが知恵の輪。まぁ、知恵の輪は商品名なので正確にはラックスペーサーと言ったほうが正しいでしょうか。

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切れ角が増える原理は簡単で、ステアリングのロックトゥロックの量を物理的に増やしてあげるというもの。

ステアリングラックとタイロッドの間にスペーサーを入れることで、だいたい拳一個分ぐらいステアリングが余分に回るようになります。

スペーサーの入れられる量はクルマによって異なります。入れすぎるとオイルシールを傷つけてしまい、ステアリングラックの破損につながる可能性があります。
部品代も安く、交換も簡単なことから、かなりメジャーなチューニングだと思います。
また、ステアリングを切るときのフィーリングもノーマルの延長線上で増えるため、違和感が少ないのも嬉しいポイント。

ナックルストッパー短縮

クルマによって出来る出来ないがありますが、前述の知恵の輪的な効果があるのがコレ。

ステアリングはラックの移動量以上には切れないですが、そもそもナックルがロアアームにあたるのを防ぐためにストッパーで止めている場合があります。

そういう場合はたいていラックの移動量のMAXに到達する前にストッパーに当てて止めています。

最近流行りのZ33とかはナックルストッパーがすんごい長いので、短縮するだけでも切れ角が増えるんじゃないでしょうか?

ストッパーの短縮も、知恵の輪と一緒で純正のフィーリングのままでいられるのが嬉しいですね。

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切れ角アップナックル

今回の表題にもなっているのがコレ。

車両のステアリング機構の一部を担うのがナックルという部品。これを加工することで、ステアリングの切れる量を大きく変化させることができます。

原理は割愛しますが、先に挙げた2つと比べて大幅に効果が得られます。

大幅な切れ角を得られますが、純正のステアリングの切れ方とは動きが変わってしまうことが大半。

ちょっとステアリングを切っただけでいっぱいタイヤが動きますし、切れ込んでいった際に左右のタイヤの切れ方もナックルによってまちまち。

詳しくはアッカーマンアングルという言葉で解説が出来るのですが、今回は割愛。

先の2つに比べて、部品交換の難易度や価格は少し高いですが、それに見合った効果は十分に得られるかと。

切れ角アップすると何がいいの?

カウンターステアの量を稼げるので、切れ角アップにメリットがあることはお分かりかと思います。

改めて、切れ角アップのメリットを記すと

・スピンしにくくなる

・角度をつけた走りが出来る (ケツ進入が出来る)

の2つが大きいでしょう。

この2つのメリット、同じことを言っている感も強いですが少し意味合いが違います。

切れ角が上がる前は、限界スレスレでコントロールする必要があった領域で走るとして、切れ角が上がればさらに余裕が生まれます。

この余裕こそが、スピンしにくさを生み出すのです。

特に初心者は、狙ったアングルでキープしたり、狙いのアングルで止めることも難しいかと思います。

そういう人にとって、クルマ側の切れ角があることによってドリフトがやりすくなるわけです。

上級者目線でいえば、より角度のついた派手な走りが出来るようになります。

ここ10年ぐらいで角度旋回という乗り方も台頭してきましたが、これも切れ角があってこその走り。

ドリフトはギャラリーが居てこそのエンターテインメント。より派手に走るために道具が進化していくのは必然です。

より深い角度でドリフトをするのがカッコいいという価値観がある以上、クルマ側がそれに応えられる形になってきました。

じゃあ切れ角アップは必要なんじゃん?

ここまで読んだ方は、そう思ったのではないだろうか。

切れ角アップには良いことしかないじゃん、と。

実際のところ、デメリットはないと思って差し支えないでしょう。私もそう思います。

ステアリングを切った時の動きが変わるので、タイムアタックの車両では向かないのは言うまでもないです。でも今回はドリフトだけの話なので。

この記事の冒頭に記した通り、何を目指すか、それが重要なんです。

運転の上達を目指すなら、初めはナックルなしで走ろう!

私の結論はこれです。

逆に言えば、

楽しくドリフトがしたいなら、とっととナックルを入れよう!

とも。

私の持論ですが、運転の上達はすなわち、車両のコントロール力に他ならないと思っています。

限られた範囲の中で、どうクルマを動かすのか。それが運転の上手さを表す一つの指標です。

ナックルのスピンしにくくなるというのは、ステアリングの切れる量が増えるだけではありません。ステアリングを切った量に対して、タイヤの動く量も増えます。

そのため、同じだけタイヤを動かすにしても労力が減るわけですね。ということは、少し操作が遅れてしまっても追いつけるわけです。

ドライビングの基本は、起こった事象に対して適切に操作できること。もっと言えば、自分の意志でどんな事象が起こるかを制御すること。

操作の遅れは論外・・・はさすがに言いすぎですが、鍛錬を積むべきことではあります。

故に、運転の上達を求めるならナックルを入れるのは少し待ったほうが良いと思います。

純正ナックルじゃドリフトが出来ないわけじゃないですし。切れ角が少ないからやりにくいかもしれませんけど、それをコントロールしてこそドライビングの幅が増えるわけです。

切れ角アップなど一切ないMR-Sで遊んでいる動画です。ノーマルのクルマにしては切れるかもですが、私の考えるドライビングの幅というのはこういうことです。

私の目指すドライビングは、どんなクルマもどんな走りもすぐに対応できるスタイル。適応力を増やすためには、切れ角の少ないクルマでも走れないとね。

一方で、とにかく楽しくドリフトがしたいんだ!という人はとっととナックルを入れるべきだと思います。

ドリフトを始めたての人は、やっぱりスピンが多い。でも、スピンばっかりしてても楽しくないわけです。

早くコースでドリフトをしたいでしょうし、スピンしにくくなるだけでも不安が減って走りやすくなりますしね。

趣味として、楽しく遊び続けるためには良い道具に頼るのは決して悪いことじゃないです。モータースポーツは道具のスポーツですから。

だからこそ、何を目指すかが重要です。運転の上達を目指すのか、趣味として楽しく遊びたいのか。

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補足:ナックルの使い方も勉強が必要

先の主張だけだと少し誤解を生みそうなので付け加えておきます。

ナックルを入れるメリットの部分でも触れましたが、切れ角アップナックルがあるとより深いアングルで派手な走りが出来るようになります。

これはこれで、当然技術が必要な部分です。運転の上達、という意味合いではこの走りも十分に練習する必要があります。

私の主張はあくまで、ドリフトを知らない人がスタートラインに立った場合の話。

そもそも車両のコントロール能力が十分にあるのなら、ナックルを入れて使い方を勉強するほうが良いかと思います。

かくいう私も、ずっとノーマルナックルで走っていました。だいたい4年ぐらい。

2018年頃に切れ角アップナックルを導入して、少し感覚が変わったことを覚えています。

もちろん運転は楽になりましたが、使える切れ角めいっぱいで走るのは少し苦労しました。

この動画でのドリフトは全部切れ角アップした後の車載ですが、使いこなすのにはそれ相応に練習をしています。

ノーマルナックルに慣れると、角度をつけないで走るようになりがち。それを修正するのも運転の鍛錬なのです。

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